『お焼香の回数は、なぜ宗派によって違うのか?』

今回のテーマはお焼香の回数です。

お葬式に参列する時、お焼香って緊張しませんか?自分がお焼香を待つ間、前の方の様子、回数を見てしまう……

この記事を読むことで不安感が無くなってくれるといいな、と思っています。

「お焼香」とは

お焼香は仏式のお通夜、お葬式、法事で行います。「焼香」という漢字からも分かるように「お香」+「焼く、焚く」、つまりお香を焚いて亡くなった方や仏様を拝む仏教の供養のひとつです。

お焼香の発祥は仏教発祥の地、インドです。インドは天然の香木の産地でもあります。日本には飛鳥時代に入ってきました。

「お香」は香りが好きな方は馴染みがあるかもしれませんね。日本で古くから親しまれているアロマです。お焼香では沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)、丁子(ちょうじ。クローブともいいます)、鬱金(うこん)、龍脳(りゅうのう)の5種類の香木が基本となり、その他さまざまな原料が調合されています。

お香の香りは邪気を祓い、心身のけがれを取り除くといわれています。心身を清め、亡くなった方、仏様に想いを伝え、ご冥福をお祈りする。それが「お焼香」です。

お焼香には「抹香」を焚くものと「線香」をあげるものがあります。「抹香」を焚く方が多いようです。

「お焼香」のやり方

「お焼香」のやり方を簡単にご説明します。
お焼香のやり方は3種類あります。

  • 立礼焼香:椅子席の場合、立ってお焼香をします。
  • 座礼焼香:座ってお焼香をします。
  • 回し焼香:焼香盆を回していきます。

ここでは、基本的な立礼焼香のやり方をご説明します。

自分の順番がきたら周囲の方に軽く会釈をし、席から立ちあがり並び、焼香台へ向かいます。
喪主、ご遺族と、故人と関係の深い方から順に焼香します。

僧侶、ご遺族へ一礼。

お焼香。右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香(香木を砕いて細かくしたもの)を少量つまみます。

指を上にして額の高さまで上げます(「押しいただく」という言い方をします)。

手を下げて、つまんだ抹香を指をこすりながら香炉の中に落とします。

焼香台から一歩下がります。

遺影に向かって合掌、一礼。

僧侶、ご遺族に一礼。

宗派ごとの焼香の作法

仏教には宗派があり作法が異なります。

主な宗派について、それぞれ簡単な説明とお焼香の回数をお伝えします。なお、焼香の作法は地域やそれぞれのお寺の考え方などによって異なる場合があります。

天台宗

最澄が開いた宗派です。総本山は比叡山延暦寺です。

お焼香の回数は特に決まりはありませんが、1回or3回が多いです。

額に押しいただいても、いただかなくても、どちらでも。

真言宗

空海が開いた宗派です。総本山は高野山金剛峰寺。

お焼香の回数は3回。

額に押しいただきます。

浄土宗

法然が開きました。阿弥陀如来を信仰しています。

お焼香の回数など特にこだわりません。

浄土真宗本願寺派

開祖は親鸞です。阿弥陀如来を信仰しています。

お焼香の回数は1回。

額に押しいただきません。

真宗大谷派

お焼香の回数は2回。

額に押しいただきません。

臨済宗

栄西が開きました。道元とともに禅宗を日本に広めました。栄西は禅とともに中国からお茶文化を持ち帰ったことでも知られています。

お焼香の回数は1回。

額に押しいただきません。

曹洞宗

道元が開きました。福井県にある永平寺と、神奈川県にある總持寺、2つの大本山があります。

お焼香の回数は2回。

1回目は額に押しいただき、2回目は額に押しいただきません。

日蓮宗

日蓮が開いた宗派です。経典は法華経です。

お焼香の回数は特に決まりはありませんが、1回or3回(僧侶は3回、一般参列者は1回)が一般的なようです。

額に押しいただきません。

お焼香の回数は宗派によって異なりますが、回数は1~3回であることがお分かりいただけると思います。

お焼香の回数は、なぜ宗派によって違うの?

いよいよ、今回のテーマであるお焼香の回数について、簡単にご説明します。

1回の意味

仏教において「死」は「一に帰る」と考えられています。そういった理由から1回としています。

2回の意味

1回目は主香(しゅこう)、2回目は従香(じゅこう)という考え方からです。主香は、亡くなった方のご冥福を祈りながら香を焚く。従香は香の火が消えないようにという考え方です。

3回の意味

仏教では「3」という数字を重視しています。

宗派ごとのお焼香の回数についての考え方

お焼香の回数を調べてみると、宗派によって重きをおいているものの回数になっているようです。

お焼香の回数が1回の臨済宗、日蓮宗では1という数字が重要とされています。「万法唯一心」「一心不乱」という考え方を大切にしています。

お焼香の回数が2回の真宗大谷派、曹洞宗は、それぞれ別の意味があります。

真宗大谷派では、お焼香1回目は仏様、亡くなった方のため。2回目は自分自身を清めるためといわれています。一方、曹洞宗は1回目は、亡くなった方のため。2回目は1回目の香りを絶やさないためといわれています。

お焼香の回数が3回の浄土真宗、真言宗は仏教において身・口・心の三業、仏・法・僧の三宝など、3という数字を重んじているためといわれています。

参考になりましたでしょうか?

ちなみに、仏式以外の葬儀ではお線香はしません。

神式では玉串といって、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)という紙を結んだものを、キリスト教では白い花を捧げるのが一般的です。

終わりに

お焼香の回数は仏式の宗派だけではなく、会場によって、参列される人数によって変わることもあります。前の方にならって回数を合わせても問題ありません。不安でしたらお坊さんや葬儀社の担当者に確認されてもいいかもしれません。

また、宗派によってお焼香の回数が違うことを知っておくことも大切かもしれませんが、形式的にお焼香をするより、亡くなった方を想い手を合わせる気持ちが大切だと思います。